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ジョルジュ・サンドのアンディアナ、レビュー


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こんにちは。カルメンです!今回は、ジョルジュ・サンドの「アンディアナ」のレビューです。古書です。だから「ヂョルジュ・サンド著」となっています。この作品が書かれたのは、1832年、フランスにおいて、かのバルザックやヴィクトル・ユーゴが活躍していた時代です。

 


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ジョルジュ・サンドのアンディアナ、レビュー

すごく良かったです。心が揺さぶられる。ジョルジュ・サンドの作品らしく、最後の方に行くに従って、話の展開が早くなっていって、思いがけない方向へと話が進んでいき、読むのが止まらなくなる感じです。

 

最初の方は、時間をかけて、登場人物の心の描写などをして、状況がよくわかるようになっているので、少し退屈に思う部分もありますが。

 

今でこそ、DVとか、話題になって、法により裁かれることもありますが、19世紀の頃やそれ以前は、女性が家庭内で虐げられて、ただただじっと我慢する、なんてことは、よくあることだったのだと思います。

 

この「アンディアナ」はジョルジュ・サンド(女性)の処女作だったと言っていいと思いますが、大変な反響を得ました。創作ではありますが、彼女自身の、失敗に終わった結婚生活が話のベースになっていると言えます。

 

「愛し合って結婚」できれば本当にいいのですが、たとえ、「愛し合って結婚」しても破綻するときは破たんします。それでも、「愛し合って結婚」したのであれば、「幸せ」な時もあったはずです。

 

しかしながら、この、アンディアナのように、またジョルジュ・サンド自身のように、人は時として、「結婚しなければならなくて結婚する」場合があります。そして、人間社会が作りだした「結婚」という社会的な形態に縛られて、「幸せ」を経験することなく、絶望の淵に立たされる人がどんなに多かったことか。

 

人は、幸せを経験したことがない、または、あまりにも不幸ばかりに見舞われていると、「人生とはこんなものだ」とあきらめてしまって、幸せになることに臆病になります。

 

アンディアナはそんな人だったと思います。あまりにも不幸を経験しすぎていて、これ以上の不幸は体験したくなかった。それで、何事にも用心深くて慎重だった。そして、時の流れとともに、おずおずと幸せを求めると、また裏切られる。

 

なぜかって、人生っていつもうまくいくものではないから。たまに1回位トライして、それがうまくいくとは限らないものでしょ。それでまた、引きこもってしまう。やっぱり、余計なこと考えるんじゃなかったと。

 

それで、時の経過とともに、もう一度、勇気を振り絞って、幸せのために行動を起こしてみる。それなのに、また裏切られる。なぜかって、2回チャレンジした位で、思い通りにいくとは限らないから。

 

幸せを何度も経験して育ってきた人なら、立ち直れるのですよね、きっと。でも、ずっと不幸せの中にいた人は、2回失敗しただけで充分。それらをばねにする力なんて残ってないでしょうから。

 

アンディアナの人生は、そんな感じだったんですね。でも、最後に驚きの展開になる。ハラハラ、ドキドキ。自分の近くに幸せがあったのに、それが見えてなかった。それが最後に見えたのです。

 

人って、見た目で人を判断しますよね。かわいいとか、若いとか、ハンサムだとか。そして、偏見を持って人を見る。「この人はこういう人だ」って。偏見を持ってしまうとなかなか覆せない。

 

本当はすごく素敵な人なのに、見た目で判断されてしまって、それがわかってもらえない、それがわからない。

 

アンディアナも、これだけいろんなことがないと、気がつかなかったのかなぁ、と思ってしまいました。

 

ジョルジュ・サンドについて

著者のジョルジュ・サンドは、音楽家ショパンと9年間一緒に暮らした女性です。ショパンと結婚はしませんでした。なぜかと言えば、その当時、フランスでは離婚が許されてなかったのですね。

 

裁判沙汰にしてやっと、前の夫との別居を許してもらえた位だったのです。前の夫と別居して、なんとか自立しなければと書いた作品がこの、アンディアナです。この時、28歳でした。

 

アンディアナの和訳の本について

私が読んだこの本は、昭和23年発行の本です。1948年ですね。読めない漢字もありました。翻訳者の松尾邦之助は、パリ大学を卒業されている方です。

 

なかなか入手しにくい本だと思いますが、フランスの7月革命の頃にジョルジュ・サンドが書いた本で、ナポレオンなど、政治的な問題についても大胆に言及してあり、その頃の歴史と照らし合わせて読むと、より面白いと思います。

 

 

まとめ

ジョルジュ・サンドのアンディアナという本のレビューでした。「結婚」ということについて考えさせられた一冊でした。結婚するときは、よく相手を見極める、というのは大切なことだな、と。

 

200年近く前の作品ですが、とても面白かったです。そして、70年前位に日本語版が出て、それを読めたことにとても感謝しています。また、出版されるといいのですが、と思います。